光触媒入門
光触媒とは
光触媒は光があたると触媒作用(化学反応の速度を変えること)を発揮する材料です。
光触媒作用を示す材料はいろいろありますが,酸化チタンがもっとも優れていると言われています。
酸化チタンとは
酸化チタンは通常は白い粉で白色塗料、白いプラスチック、白い紙の材料として多く使われています。また紫外線を吸収するので化粧品にも使われています。
酸化チタン光触媒
酸化チタン光触媒は結晶構造を少し異なるものとしたり、微粒子に加工するなど、光触媒効果を高めるためにいろいろ工夫が施された酸化チタンです。
紫外線を当てることにより、「分解力」と「親水性」の作用を発揮します。
1.分解力
様々な有機物を分解できるので,汚れや臭いの除去や抗菌作用が得られます。
- 光触媒である酸化チタンに光があたります。
- e–(電子)とh+(正孔)が生じます。
- 空気中のO2とe–が、H2Oとh+がそれぞれ反応を起こします。
- 酸化チタン表面にO2–(スーパーオキサイドイオン)、–OH(水酸ラジカル)という分解力を持つ、2種の活性酸素を発生させます。
2.親水性
表面が水に濡れやすくなり,雨水がかかると汚れの下に入り込み、浮き上がることによって、汚れが流れ落ちます。また曇り止め効果も得られます。
- 光触媒である酸化チタンに光があたります。
- 酸化チタンを構成しているO(酸素)のうちのひとつと、空気中のH2Oが反応を起こす。
- OとH2Oが反応した結果、酸化チタン表面に、水とのなじみが非常によい–OH(親水基)ができる。
酸化チタン光触媒の用途
光触媒の用途は下図のように効果により,種々の分野の製品に応用されています。
光触媒と光
酸化チタン光触媒は紫外線のある所で使う必要があります。屋外では太陽の光がありますが、屋内では窓からの光と照明の光を利用することになります。一般に屋内では紫外線が少なく、注意が必要です。参考:ランプからの紫外線量
新しい酸化チタン光触媒
最近、紫外線より波長の長い紫や青い光でも触媒効果を発揮する可視光応答型光触媒が開発され,応用製品も出ています。さらに波長範囲を広げる研究や性能向上の改良がさかんに進められています。
安全性
酸化チタンそのものは無害で、化粧品などいろいろな用途に使われています。酸化チタン光触媒は同じ成分ですので、現時点では無害と考えられています。
(なお、微粒子の酸化物であること、触媒作用による化学反応を利用していることから、より詳細な安全の確認試験が継続して行われています。)
環境への影響
酸化チタン光触媒は太陽光や照明ランプの光に含まれる紫外線を利用しますので、環境にやさしい材料です。
光触媒による抗ウイルス効果
最近注目されている光触媒を利用した抗ウイルス技術について、ウイルスの基本的な知識とともに、そのメカニズムをご紹介します。 光触媒を利用した抗ウイルス効果の紹介(pdf)